痴漢目撃証言(その1)

10日程前に、19時過ぎの小田急線下り車内で痴漢を目撃しました。

車内中央付近に立っていた私は、成城学園駅を過ぎて何気なく左手の方を見ると、20代半ばの女性後ろに男がピッタリとくっついて、男の黒い手が女性の左腿の辺りを触っています。
女性はうつむいたまま目を閉じていました。

連れの男かな?と一瞬思いましたが、後ろにいた男が外国人風の小柄な色黒の男だったことと、女性の表情から、私は違和感を感じました。20代前半くらいの男でした。

連れではなさそうだな。
痴漢か・・・。
そう思ったのは、多摩川の橋に差し掛かっている頃で、橋を渡るとすぐに登戸駅に着きます。

登戸駅に着く直前に女性に声を掛け、ドアが開いたらすぐに周囲に声を掛けて駅員を呼んでもらおう。
そう思って再度女性の方を見ると、女性は気丈にも自分のスマホで左腿にある男の手の写真を撮りました。
ガシャ。

その直後に、私が女性の肩を軽く叩いて「大丈夫ですか?」と尋ねると、苦しそうな顔をして黙ったまま首を横に振りました。
そして「駅員を呼びましょうか?」と聞くと、
「お願いします。」と声を絞り出すように言いました。

その瞬間、女性は左手で後ろの男のTシャツをぎゅっと掴んでいました。
男は呆れた顔で笑っていました。

図々しいヤツだな。
混雑する車内中央にいた私は、電車のドアが開く直前に「駅員を呼んでください、痴漢です」と大声で叫びました。
ドアが開き乗客がホームに出ていくのに流されるように、女性と男もホームに出て行きました。
私は、続けて大声で4回、5回と叫びました。

ところが乗客は誰も反応しません。
一度ホームに出て戻って来る乗客も多くいましたが、まるで何もなかったかのような顔をしています。
唖然。
何なんだろう、この人間たちは。

私の大きな声が聞こえなかったとでも言うのか、誰も痴漢に気づかなかったとでも言うのか、見て見ぬふりをしておいた方がいいということか、関わりたくないということなのか?

大勢の人たちの”不甲斐ない態度”に、私は怒りを感じていました。

つづく