平川正城さんへのリレーインタビュー

フットゴルフのジャパンチャンピオン立花友佑さんからのリレーインタビューは、株式会社MSAグローバルマネージメント(マサキスポーツアカデミー)代表の平川正城さんです。

今回も新型コロナウィルスの影響のため、オンラインによるリレーインタビューとなりました。

平川さんは、18歳からプロサッカーのゴールキーパーの選手として活躍され、現在サッカースクールを中心とした事業を展開し、独自のサッカープログラムを軸に多くの子どもたちの育成に携わっておられます。

そんな平川さんは、もしJリーグクラブからオファがなければ幼稚園の先生を目指していたといいます。
実は、根っからの”子ども好き”。
事業のコンセプトや育成の仕方、子どもの意志の尊重など、肝心なことはすべて子ども最優先で考え実践されています。ですから、どんな話をしていても一本筋が通っています。とても、清々しい。
それは、ご自身がプロアスリートの厳しさを経験し、プロアスリートになることの難しさを身に染みてわかっているからだと思います。

「スポーツ選手である前に良き社会人として」
平川さんは、子どもたちにも現役のアスリートにもこう呼びかけています。プロ選手になれるのは、ごく僅かの人のみ。 そしてプロ選手になっても、現実は甘くない。だからこそ、子どもたちには“人間”として成長してほしい。
周囲の人たちから、親しまれ、信頼される人間になることで初めて、アスリートとしてスタートラインに立てると思うし、現役を引退してからのセカンドキャリア(第二の人生)においても、それが原点となって生きてくる。平川さんは、そう考えておられます。

あらためて私は、”子どもが好き” ということがどれほど価値のあることなのかを気づかされたような気がします。
(聞き手:昆野)

Jリーグ 湘南ベルマーレ時代

――何歳までプレーをされていたんですか?

平川正城さん:現役生活は29歳までやらせてもらいました。

――29歳で引退?少し早くないですか?

平川正城さん: そうですね。本来、ゴールキーパーはフィールドの選手よりも選手としての寿命が長いですが、これからの自分の生き方を見据えながら、多角的に考えて見極めたという感じです。

――ゴールキーパーは、いつ頃から始めたんですか?

平川正城さん:小3からですね。

――早いですね。ゴールキーパーになりたかったんですか?

平川正城さん: 全然そんなことはなかったです。元々は守備の選手であるディフェンスでした。しかし、なかなか試合に出ることはなかったんですよ。そんな時、たまたまゴールキーパーの子がバスケットに転向してしまい、ゴールキーパーをやる人がいなくなりぽっかり空いちゃったんです(笑)。

それで、試合に出ていない選手の中で、一番カラダが大きかったのが私だったので、監督から「お前やれ」の一言で決まっちゃいました。
それが29歳の現役最後まで続いたということです。

――運命ですね!

平川正城さん:そうですね。あの巡り合わせがなければ、ゴールキーパーどころかサッカーもやめていたかも知れませんからね。

小学校時代

――運命の巡り合わせって、面白いですね(笑)。
ゴールキーパーというのは、同じフィールドに立っていても他の選手とは視界に入ってくるもの、得られる情報、立場など一人だけまったく違いますね。
その経験は、結構いろいろなところで生きているんじゃないですか?

平川正城さん:ゴールキーパーで培ってきた目線は経営者や起業家にとって重要な目線だと、自分で事業を始めてから強く感じています。

いつも後ろから全体を見て、プレーヤーの背中を見ているゴールキーパーは、試合中に問題点を見つけ問題が大きくならないうちに、リスクヘッジを考えます。見つけた問題点はすぐ「解決、解決、解決」の繰り返し。その結果、最終的にはチームとして勝つ。
自分は失点をしない、得点を許さないという個人としての役割や目的もありながら、他のプレーヤーのこともケアしなければならない。

こういうゴールキーパー時代に培った能力が、この事業を始めてみてすごく生きているなと感じます。
もし私がフィールドの選手だったら、事業はこんなに上手くいっていなかったと思います。ゴールキーパーをやってきて、本当に良かったです。

――起業されたのは、選手をやめてからですか?

平川正城さん:いえ、選手をやりながら起業しました。

―夢があったんですか?

平川正城さん:はい。18歳でプロサッカー選手になる前から、プロ選手になれなければ幼稚園の先生になるつもりだったんです。
高校生の時に社会科実習で東京都にある幼稚園に行った際にも、普段、人懐っこくない子どもが初日から私に懐いてくれたんですよ。
園長先生からも「子どもにしか見えないオーラがあるから、平川君は絶対に幼稚園の先生とか子どもに関わる仕事が向いてるよ」と褒めていただき、「何ならうちの幼稚園に就職しない?」と熱烈なオファも受けました(笑)。

その頃には、サッカーでJリーグクラブに進む話があったので現実しませんでしたが、元々子どももサッカーも好きだったので、後々子どもに関わることを仕事にしたいと思っていました。
ずっとサッカー一筋でやっていましたが、子どもが好きだということはアタマから離れたことはなかったですね。だから現役時代から、引退したら好きな子どもたち、好きなサッカーと関わる仕事をしたいとずっと思っていました。

私自身、「セカンドキャリア」という言葉はあまり好きじゃないんです。「ファーストキャリア」があるから、「セカンドキャリア」が成り立つ訳で、人生は全てがストーリーになっている。「ファースト」や「セカンド」なんて順番を付けるものだとは思ってないので。

だからこそ人生一回のチャレンジを好きなことをやろうと決め、自分の経験を子どもたちに伝えられる環境をつくりたいと2013年に会社を起こしました。

――約8年前ですね。引退が5年前なので、引退の3年前に起業されたんですね。平川さんの強い想いを感じます。
私も、このTEAMシャカ(社会企業家)の活動を続けながら強く感じることは、「大人は子どもたちのためにいる」ということです。
私たちは大人になるにつれて、まるで最初から大人だったような感じで生きています。20代の人は、つい最近まで子どもだったのに、社会に出て仕事をし始めると子どもの頃の自分が遥か遠い世界の自分のように思えてきます。
子どもの頃と変わらない自分が、”私らしさ”だと思うんですよね。変わっていない自分に安心することで、心の余裕が生まれるのではないかと思っています。

ご自身の子どもの頃と比べて、今の子どもたちをどう思いますか?

平川正城さん:ものすごく明確になっていることが2つあります。
1つは、サッカーのスキルを昔と比較すると、断然今の子どもたちの方が上手い。めちゃくちゃ上手い(二人笑)!

もう1つは、基礎運動能力がめちゃくちゃ低下しています。サッカーや野球の専門的なスキルは上がっているのに、小学校などの体育などでやっていた前回りや後転、側転などが出来ない子が増えているんです。不思議ですよね。

――え?サッカーが上手い子でもそうなんですか?

平川正城さん:前回りや側転ができない子が普通にあちらこちらにいますよ。今の時代、特定のスポーツに特化したスクール等が全国的に増えて、そのスポーツに特化したトレーニングを小さい頃から行えるようになりました。
だから、特定のスポーツの能力や動きはめちゃくちゃいいんですが、サッカー少年にバットをもたせたらまったく野球の球が打てないとか、バスケットをやらせたらリズムが取れず手と足の動きがおかしくなっちゃう等、基本の運動能力が子どもたちには身についていないんですよ。

私たちが子どもの頃は、公園に行ったら木登りやら缶蹴りやら、あるいはスポーツをやっている所に混ぜてもらったり色々と遊びの中から学べていたと思うんです。

それが今は、公園のジャングルジム等の遊具は危険物となり撤去の対象になったり、放課後の学校グランド内でのボール遊びは禁止とか、行政が関与するとケガをさせない対策が優先されてしまいます。
どこに行っても「やっちゃだめ、やっちゃだめ」と。
結局、子どもたちは、私たちがやっているようなスポーツスクールなどに参加しないと、スポーツができない環境になってしまっているんですよね。
もちろん、そうなるとお金も掛りますよね。だから、スポーツをやらせてあげたくても、家庭の事情でやらせてあげられない。そんな話も聞いたことがあります。本来、誰でも出来たスポーツが時代と共にビジネス寄りになってきてしまってるんですね。

最近、子どもたちは公園に集まって、オンラインゲームやスマートフォンでアプリとかやってますからね。不思議な光景ですよ、ホント(二人笑)。

横浜市サッカー協会が主催するサッカー大会での挨拶

――だから、スポーツスクールに通わせる親が多いということですね。

平川正城さん:子どもに何かやらせたいという親御さんは、間違いなく増えていますね。

――そこには子ども自身の自主性はあるんですか?親がお膳立てするんですか(笑)?

平川正城さん: いやあ(一瞬ためらいがちに)・・・、多いですよ、多いです。子どもの意志じゃないんだろうなということも多いですね。
体験に来た子どもと保護者の温度差に違和感をもつことはあります。

―やはりそうですか。

平川正城さん:ですからアカデミー体験の際は、親御さんとの会話も面談を兼ねて何気ないカタチで行っているんです。子どもはプレーを見て評価出来ますが、親御さんには何故ここに来たのかなど目的等をお聞きして、子ども自身の意志で弊社のスポーツアカデミー参加を希望しているかどうかを判断し内定を出すようにしています。
保護者の方に、予め“面談”と伝えて時間をつくっていただくと、子どものお受験前の親御さんのようにかしこまってしまうと思うので、何気ない会話の中から面談を行っています。国内のスポーツスクールでは稀だと思います。

このマサキスポーツアカデミーのスクールは、入りたい人が入れるしくみではないんです。ある程度、意識の高い子どもたちだけを集めてグループ化し、クラスの昇格や降格などもあります。競争させて、切磋琢磨できる環境をつくりたいと思い運営をしています。

もし、明らかに親のエゴで連れて来たような場合は、子ども自身が「入りたい」と意思表示した時に、再度来てくださいと伝えています。
子どもは親のロボットじゃないですから。小さいながらも子どもは子どもなりに自分の意志をもっています。そこにあれこれ親が指示する必要はないし、子どもの意志を理解したうえで大人がどのようにサポートできるかを考えるべきだと思いますね。

地域社会人サッカーリーグ時代

――いいですね!平川さんは子どもがお好きだから、そういうところに子どもの意志を尊重したいという気持ちが現れていますね。

平川正城さん:子どもたちにとって「いい環境」をつくってあげたい。それが最優先であり、原点です。

国内には同じような教室が”星の数”ほどあるので、スポーツスクールを立ち上げる際も、意識の高い子どもたちに環境を提供するスポーツスクールというコンセプトでしくみをつくり始めたんです。

MASAKI SPORTS ACADEMY(マサキスポーツアカデミー)での指導風景

――そこが、他のスクールとの大きな違いですね。

平川正城さん:そうですね。あともう一つの違いは、フィジカル(身体能力強化)トレーニングを専門に行っていることですね。
看板はサッカースクールですが、練習最初の20分~30分間はまったくサッカーをしていません。
何をやるかというと、跳び箱の運動やリズム感のトレーニングなど、サッカー以外の全てのスポーツにも通用するようなカラダの能力を強化するトレーニングを、年間のカリキュラムに組み込んで毎週実施しています。

――毎回練習時間の約1/3を、サッカー以外の練習に時間を割く訳ですか。それほど重要な意味をもつということですね。

平川正城さん:マサキスポーツアカデミーに在籍している選手の最高齢は中学校3年生ですが、今後その子たちはサッカーを続けるのか、野球をやるのか、はたまたスポーツをやめてしまうかも知れません。

今の日本のスポーツ育成方法では、小さい頃からサッカーのエリートを育てることを最優先に行ないますが、サッカーをやめたくなったらどうしたらいいのかわからなくなる子が実際にいるんです。

ですから中学生までに、スポーツに特化した専門スキルだけではなく、その子が本来もっている身体の能力をしっかりと鍛えていけば、後々、サッカー以外の選択肢を増やすことができるんです。
例えば、野球でプロや大学とか、陸上のアスリートになるとか、今のマサキスポーツアカデミーで学んだ運動能力を活かして選択できるじゃないですか。

――同じような考え方のスクールはあるんですか?

平川正城さん:フィジカルトレーニングを行う団体は増えてきましたが、ここまで考えて実施しているところはないのかな。でも、本当に子どもたちのことを思うのであれば、目先の勝利よりも、子どもたちの可能性を伸ばす指導者が増えて、私たちのような活動を全国で真似てもらいたいですね。

――そうなんですか、これからも子どもたち最優先で考えてくださいね。
ところで、子どもの親を見ていてどう感じますか?

子どもたちと一緒に楽しみながらのトレーニング

平川正城さん:熱心だなあ、ただただ熱心だし感心します(笑)。私のアカデミーでも千葉県や埼玉県から神奈川県まで、車で2時間~3時間近く掛けて送り迎えをされている親御さんもおられます。

遠くから私たちのスクールに来ていただくことは嬉しいのですが、裏を返せば、結局自宅近くには子どもの育成にとっていい環境がないということがわかりますよね。
中学生までの育成年代に対する環境が、国内ではまだまだお粗末な実態が浮き彫りになりますね。

――ところでエージェント事業とは、海外との交渉などですか?

平川正城さん:つながりのある海外クラブなどへの練習参加や世界大会に出場することで、プロ選手として土俵に立てるかどうか、世界各国の指導者に見てもらえる場を設けています。まずは、そういった一流の方々に見てもらえるきっかけの場づくりですね。

――対象は何歳からですか?

平川正城さん:小3から、上は20歳ぐらいまでをみています。

――海外とのパイプは人のつながりからですか?

平川正城さん:最初はそうでしたね。私自身、海外遠征をしたことがとてもいい経験になったので、是非、子どもたちにも経験してほしいと思っています。

海外選手とプレーをして衝撃を受けることも大事ですが、遠征先の街の文化、言葉の通じない不自由さにも触れてほしいと思っています。
例えばドバイに行くと砂漠の中の何もないところに、ドーンと1つビルが建っています。日本じゃ考えられないことを、海外では目の当たりにします。また、スーパーに飲み物一つ買いに行くのも、子どもたちは苦労します。

将来子どもたちには、まず人間的に優れ、アスリートとしても優れている人になってほしいんです。そういう人を私は世に出していきたいと思っています。

それを、しくみとしてつくれるだろうと私は確信をもっていやっています。
一流のアスリートを、“偶然の産物”ではなく“意図的な産物”として輩出していけると思っています。そのためには、環境と仲間に恵まれなければなりません。そのしくみを、引き続きつくって行きたいですね。

――HPに「スポーツ選手である前に良き社会人として」と書いてありますね。

平川正城さん:はいそうです。人として尊敬される人でありなさいと言っています。

アスリートは周りの人たちに共感されて初めて華やかな世界にいられるので、そもそも人として問題があったらアスリートとしてその場に立つ資格はないでしょう。
その人の人間性のうえに、アスリートという職業が成り立つのだと思っています。

私も小さい頃から“やんちゃ”だったし、色々な方々にご迷惑をお掛けしたり、アスリートとして集中できない時期もありました。
だからこそ、子どもたちにはそういう私の経験を伝えていきたいという想いは強いですね。これは私にしか出来ないことだと思っています。

――“やんちゃ”だったんですね(笑)?

平川正城さん:昔から落ち着きがなかったですね。小さい頃は、親とショッピングモールやスーパーに行ったら、必ず迷子のアナウンスが流れていました(二人大笑)。

――ご自分からサッカーをやりたいと思ったんですか?

平川正城さん:父親の影響ですね。父はサッカー少年団のコーチをしていましたし。

――サッカーを始めて、何が変わりました?

平川正城さん:サッカーと出会って、当時の私の有り余るすべてのパワーを、サッカーにガっと注ぎ込めたことですね。
それがなければ、少し変な方向に行っていたかもしれないので、私はスポーツに救われたといつも思っています。だからサッカーに恩返しをしたいんです!

現在、小学校・中学校等でも講演をされています

―よかったですね(笑)。

平川正城さん:ホント、感謝しています(笑)。

――これから何をしたいですか?

平川正城さん:子どもたちの遊び場がなくなっていきているので、全国各地にグランド(公園)を造ろうという計画を進めています。

――サッカーができる広いグランドですか?

平川正城さん:サッカーに限らずですが、子どもたちのコミュニティをもう一度公園で築ける空間をつくって行きたいんですよね。公園ではサッカーも野球もかけっこも出来ますし。
今はスポーツメーカーのミズノと一緒に、施設づくりを進めさせて頂いております。今年4月完成予定で、神奈川県相模原市内に「MSAエナジーパーク」を建設しているところです。

――グランドを1つ造るにもかなりの費用が掛かると思いますが、どのように進められるんですか?

平川正城さん:全国初の取り組みなんですが、弊社と大手電力会社&新電力会社が連携し、全国の企業に呼び掛けて、各企業の「電気料金」の削減について提案します。その後、現在、各企業が契約している電力会社に対して、私たちがビッグデータをもって電気料金削減のお願いをします。
お願いした電力会社の理解を得て削減をしていただき、削減出来た一部の費用を子どもたちのために使わせてもらうというものです。

企業にとっては、お金を掛けず毎月の電気料金の支払いが減り、新たに負担する費用もなく子どもたちのスポンサー(支援)も行うことが出来るんです。
今後の新しいスポンサーのカタチとして、自社で削減したコストの一部を社会貢献に役立ててもらうというご案内をさせてもらっています。

さらに全国にグランド(公園)を造り、地域の人たちに利用してもらいつつ、その場所でサッカースクールを開催することが出来ます。ですからプロのアスリートがアスリート生活を終えた後に、自分の経験を地域の子どもたちに伝えていくことが出来る環境を、確保することができると考えています。

――面白いですね!企業にとっては、自社のエネルギー削減やCO₂削減と地域貢献、そしてその取り組み自体が社会ブランドの確立につながります。ESG(環境・社会性・企業統治)に積極的な企業として、投資家の注目も集めるでしょう。
二重三重、四重のメリットがありますね。なぜ、電力に目を付けたのですか?

多くのスポンサー企業の支持を受け、運営を行っているマサキスポーツアカデミー

平川正城さん:現役選手時代に、スポンサーの獲得をしている営業を見ていて、企業に「お金ください」って効率良くないよなあと思っていたんです。
その中で、「じゃ企業が当たり前に支払っている費用ってなんだろう?」と考えたら、固定費である電気、ガス、水道などがあるなと。ちょうどその時に、電力の場合は電力自由化がスタートしていたので、考えによっては“ありだな”と思ったんです。
そこでしくみを考えて、大手企業などに相談したところ「面白い!」と言っていただき、2021年から本格的に動き出しました。

経済をスポーツの力で動かしていく。子どもたちのアカデミーに関わるお金は経済の中からつくる。
経済を回しながら、スポーツに関する子どもたちの教育に必要なお金をスポーツ界に持ってきて、経済も地域の子どもたちも共に育つ「共育」のしくみをつくりました。
おかげさまでやっと動き出しました(笑)。

――20年以上前に、「ESCO(エスコ)」という、建物ごとにエネルギーを削減するサービスが注目されましたが、それは一つひとつのビルを対象にしていました。例えば、1つのビルで30%の電気料金を削減することに委託者と受託者の双方が合意し、その削減コストの中からサービス料金を支払うという内容です。
今回のお話しはその地域版であり、さらに地域や子どもたちにグランドという「ギフト」を贈る。そこが、とても面白いですね。

平川正城さん:子どもたちにとって本当に必要な環境をつくっていくために、地域ぐるみ街ぐるみ、地域全体で変えて行きましょうと呼びかけています。
そして、そのコンテンツがスポーツであり、スポーツにはそういう力があると私は確信しています。

――ところで、平川さんはサラリーマンというものを経験されたことがないですが、元々、独立心が強かったんですか?

平川正城さん:自分の想いに当てはまる企業なかったんです。自分のやりたいことをカタチにしている企業がなかった。ないなら、つくってしまえばいい。単純な発想です。

そもそも自分の想いを曲げてまで企業に入ろうという気はなく、入ったとしても続かない自分の性格もわかっていましたし。
さらに、私自身が納得できる事業を始めることで、今後もビジョンをもった若い人たちが出てくるだろうし、その受け皿になれればいいと思って起業したんです。

現役時代と変わらず、未だに動ける身体をキープ。いつでも子どもたちの見本

――いいですね!想いを理屈抜きに実現したい。そういう人はあまりいませんからね(笑)!

平川正城さん:なかなかいないですよね(笑)。とにかく私は、子どもたちが好きなんです。それが原点です。
だから、もっともっと大人が子どもたちにとってより良い環境をつくって、子どもたちを導いて行けるようにしたいと思っています。
「動ける大人が動こうよ!」と、声を大にして言いたいですね。

今サッカーをしている子の中でプロになれる子はごく僅かですが、たとえプロになれなくても「あの時、平川コーチから学んだことが社会に出てから生きています」なんて言われたら、泣いて喜んじゃいますよ(二人大笑)!

――今日は、清々しいお話しをありがとうございました。

「子どもが好きだ」ということは、ただそれだけでシャカ(社会企業家)の素養が備わっているなあ。
私は平川さんとお話ししながら、そう強く感じました。

子どもたちのことを思うことは、未来を思うことです。
さらに、数年先の未来をどうしたいのかを具体的に考えることであり、そこには新たな連鎖が生まれてくるでしょう。

今、パンデミックの中にいて、日々の暮らしや収入、働き方、家族の将来などに対して不安を抱いている人はとても多いと思います。
でも、それはすべて自分のことに過ぎないのではないでしょうか。

3.11で劇的な体験や経験をした私が気づいたことは、自分のことを考えて閉塞感に陥っていたということでした。
自分のことを考えているから、迷い、不安を抱えてしまいます。

大変なときだからこそ、外に目を向けましょう。
見通しの立たない時代だからこそ、子どもたちに意識を向けましょう。

そうすることで少し希望が湧き、不安感が萎み、笑顔になり、出会いが生まれ、つながっていくのではないでしょうか。

平川さんは、根っからの“子ども好き”。
だから平川さんの視線、思考、行動様式は、いつも未来に向かっています。

平川さんは、「大人は子どもたちから学び、子どもたちのために動く」ということを、行動によって気づかせてくれる人でした。

■平川正城さんのプロフィール

平川正城(Masaki Hirakawa)
<選手歴>
横浜すみれSC→コミュニティFC→清水商業高校→湘南ベルマーレU-18→湘南ベルマーレ→ザスパ草津(現ザスパクサツ群馬)→Y.S.C.C横浜 (★神奈川県国体代表選手)→S.C.相模原→東京23FC (★神奈川県国体代表選手)→YOKOHAMA FIFTY CLUB

<指導歴>
Y.S.C.C.スクール・ユース・コスモスGKコーチ→FCバルセロナキッズキャンプコーチ→キリンビバレッジサッカーフィールドコーチ→SCHサッカースクールコーチ→ファンルーツアカデミーコーチ→Jフロンテッジ&東急レイエスコーチ→横浜すみれSCテクニカルアドバイザー・GKコーチ→ボカ・ジュニアーズジャパンスクールコーチ→SALLERゴールキーパースクール、SALLERストライカースクール(現MSAゴールキーパースクール、MSAサッカースクール)→NIKEエリートトレーニング・NIKE FC ・NIKE MOST WANTEDスカウトマン兼任コーチ→帝京平成大学女子サッカー部ゴールキーパーコーチ→品川CCゴールキーパーコーチ

「雑草からの挑戦」
MASAKI SPORTS ACADEMY

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