「ソーシャルキャピタル」というと、投資ファンドと勘違いするかも知れませんがそうではありません。社会関係資本のことです。人間関係資本ともいわれるように、信頼関係や人間関係(社会的ネットワーク)を指しており水平的人間関係を意味します。
私が社名を「ソーシャルキャピタル」としたのは、私が取り組みたいと思っている社会性の高いビジネスを推進していく上で、最も重要となる要素が「信頼関係」や「人間関係」ではないかと考えたからです。私のビジネスにおける信頼関係や人間関係とは、次代を切り拓いていく意志をもち、リスクを取ってビジネスを実現しようとする人たちの間で醸成されるものです。
元々私は社会的価値のあるビジネスを通して、低炭素社会や持続可能な社会の実現に寄与していきたいと考え行動しています。 いいことをやろうとしているのですが、まだまだ少数派です。ボランティアやNPO、あるいはCSR(企業の社会的責任)活動をしている人の中には同じような考え方の人は多いと思いますが、ビジネスで実現しようとする人や企業は少数派です。
多くの企業は利益最大化や事業規模拡大を経営の最優先課題としており、それに対し社会的利益や利益の社会還元を最優先させる、いわばソーシャルビジネスに取り組む企業はごく僅かです。本来、企業の本業自体を持続可能なビジネスに転換することが、持続可能な社会実現のためには不可欠であり実現を加速させる最も有効な手段の一つだと思います。しかし新興国経済の急激な発展により企業の国際競争力が激しさを増し、多くの先進国企業はそれどころではなくなっているようです。
今は少数派であっても社会性の高いビジネスを実現していかなければなりません。しかしそのためにはいろいろなハードルを越えなくてはならないし、その取り組みとともにこれまで多くの企業や団体が培ってきた利害関係や既得権益に相反する部分が顕在化し始めることになるでしょう。
そういうことを想定した場合に、豊かなソーシャルキャピタルの醸成というものが重要な意味を持ってくるものと考えています。ソーシャルキャピタルという「つながり」に立脚した新たな社会システムや産業構造が形成されることにより、人間としての真の豊かさをとり戻すことにもつながると思っています。