先日、南三陸出身の画家 外立(はしだて)とし江さんが私のオフィスにいらっしゃり、3.11当日の出来事や復興のことプライベートなことなど数時間2人でお話ししました。
同郷ですが、今回お会いしたのが2回目です。
初対面は6月。来年3月にオープン予定の南三陸の新しい商店街法人『南三陸まちづくり未来』の方々が十数名で東京に来られ、一緒に会食した際にお会いしました。
その時に私が3.11で親族5名を亡くしたことを聞かれ、外立さんがびっくりされていたのを覚えています。
その後、外立さんの油彩画を収録したDVDを郵送いただき、それを拝見して今度は私がびっくりでした。
『海と波』の画が素晴らしく、ピアノの音がとても心地いい。
以下は、その時に私が外立さんにお送りした感想です。
―― 画もピアノもとても素晴らしくて、どんどん吸い込まれてしまいそうになりました。
波がぶつかり合い、混じりあい、しぶきを立て色が変化する。
懐かしくて、自分がそこにいるようで。
海面の波の音や力強さとは正反対の静かな海の中にひとり私がいて、心地良く、日差しが差し込む海の中に浮いている光景がみえてきます。
何とも言えない“静寂に満たされたとき”です。
ありがとうございました。――
「何だろう、これは…」。ずっと私は余韻に浸っていました。
外立さんは、3,11以前からずっと『海と波』の画だけを描かれていましたが、3,11以降まったく描けなくなったといいます。
何か罪悪感のようなものを抱いてしまい、その後オファーがあっても「描いていいのだろうか」と考え込んでいたといいます。
私よりも先輩ですが、とてもピュアな方なんです。
お会いした日まずびっくりしたことは、私のオフィスからすぐ近くにある古賀政男音楽博物館で、6月に開催されたコンサートに来られらしく「湯川れい子さんや鈴木重子さんが出演されていましたね」と私が言うと「そうです、何で知ってるんですか?」と外立さん。
鈴木重子さんは、『リレーインタビュー』のトップバッターを引き受けていただいたヴォーカリストです。
そんな話をすると外立さんは、湯川れい子さんやピアニストのウォン・ウィンツァンさんと親交があるとのこと。
湯川さんとは、画を描いてほしいといわれて描いたのがきっかけで、その後湯川さんがとても親切にしてくださるので「何故私に?」とお聞きしたら「とても素直な方なので」と言われたらしいです(笑)。
しばらくお話ししていると、外立さんは「昆野さんはご両親含め5人の方を亡くされてどういうお気持ちだったのか、今日はそれを伺いたくて…」と言われました。すでに2時間ほど経っていた頃でした(笑)。
実は外立さんも、実弟や親戚の小学生2人を含め多くの方を亡くされたそうです。
外立さんは、ずっとずっと悲しくて、とてもとても悔しくてどうしたらいいのかわからなかったといいます。だから同じような境遇である私が、3.11以降どういう想いで、何を考え、どのように生きて来たのかを聞きお話ししたかったようです。
2人の話は4時間以上も続きました。
とても素直な気持ちになれる時間でした。
ところで10月10日(月)~16日(日)まで、東日本大震災復興支援チャリティ『外立とし江 油彩画展』が開催されます。
10日午後は、ウォンさんのオープニング演奏があります。
是非、外立さんの『海と波』そして人柄に触れてみてください。
詳しくはこちら。『外立とし江 油彩画展のご案内(PDF)』