日常的な心身ケアとセカンドオピニオン

日本の医師約3,900人への調査で、「患者からセカンドオピニオンの相談等があったら不快に感じる」と答えた医師が1割いたと報じられていました。その理由は、「信頼されていないように感じる」でした。ちょっと耳を疑います。
「セカンドオピニオン」は、1990年代から日本に導入され始めたものですが、最近、厚生労働省が5,000人の患者を対象に利用経験者の調査をしたところ、未だ22.4%にとどまっているとの結果でした。何がネックになっているのか?大きく2つあるようです。
1.医師への気兼ね。
2.費用負担が増える。

冒頭のように「不快に感じる」医師が多い中で、患者が主治医に対し「セカンドオピニオン」の紹介状を依頼したいと思っても、躊躇してしまうのは目に見えるようにわかります。一方、費用負担については、一般的に「セカンドオピニオン」は保険診療の対象外となるため、患者の自己負担が増えるというものです。

ここで一つ気がついた点は、多くの人が「セカンドオピニオン」を求め始めるのが、自分が患者になってからということです。つまりほとんどの人は自分が病気になって、偶々出会った医師を主治医として治療を受け、その後何らかの理由により「セカンドオピニオン」を要望するのが一般的だということです。ただその場合、主治医に診療情報提供書というものを作成してもらう必要があるため、気兼ねをして言い出せない患者が多いということのようです。
ということは、「病気になってから」を「普段から」に変えていけばいいのでは?

「セカンドオピニオン」は、日本では主に医療分野に用いられていますが、wikipediaの冒頭には「よりよい決断をするために、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に求める意見、または意見を求める行為」とあります。
ですから普段から気軽に、専門的知識をもった第三者に自分の心と身体のことを相談できるようにすればいいということです。また的確なアドバイスをもらうためには、自分の心身の状態をよくわかってもらう必要があるため、あまり費用負担を掛けずに日常的なケアをしてもらうことができれば最良です。
ごく当り前に考えれば、誰だって病気になりたくないし、病気になりにくい元気な心と身体を維持したいと思っているはずなのに、最も肝心な日常生活や仕事のあり方を蔑ろにしている人が多く、病気になったら医師に診てもらえばいいと人任せになっています。
ここを少し悔い改めませんか?世の中にとっても重要なことですから。

ただ個々人での対応を想定した場合、自分で「セカンドオピニオン」となる第三者を探すことが難しい、どの程度の費用負担になるのか不明確である、病気になっていないので必要性を感じないという意見がでるのではないでしょうか。つまり個人的に第一歩を踏み出す人は稀であり、社会的な波及にはつながりにくいというのが実態です。

そこで興梠さんと私が1年前に始めた試行は、企業活動の一環で社員とその家族の心身両面の健康を守るしくみをつくるというものです。それを「原点回帰」といっています。
企業が社員の日常的な心身のケアをしセカンドオピニオンを確保することにより、社員一人ひとりの抵抗力・治癒力の向上による病気になりにくい心身の健康を取り戻し、食生活や生活習慣等を改善するしくみを築いていきたいと考えています。さらに社員の家族の健康維持にも寄与できれば、日本の企業が見失いつつある「温かみのある企業」を取り戻すことにつながります。

心底楽しく仕事をする「社会企業家」は、本当の意味で健康な人です。健康だからこそ心底楽しいと感じ、他人への気遣いができ、社会のこと未来のことを考え取り組めると思います。さらに「社会企業家」や「社内起業家」が原動力となって、社会ビジネスが起き、社会的企業が当たり前になっていくという社会現象につながっていくでしょう。

私は興梠さんと出会って23年ほど経ちますが、出会ってから医師の診察を受けたことはないと思います。薬もほとんど服用したことはありません。健康に対する意識が変わったことによるものですが、何か大それたことをしている訳ではなく、単に日々気をつけるべきことに気をつけているに過ぎません。

多くの人に最も大切なきっかけが生まれるようなしくみを、企業活動の中に組み入れてもらえれば流れは一気に加速し始めます。
これが「原点回帰」のしくみづくりです。