U谷の喫茶店の朝はせからしい。
常に誰かが電話していて そのほとんどが初めて話す相手だったりする。
なんてことが分かってしまうくらい 堂々とみんな通話している。
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「他者意識」なんてのが流行ってるらしい。相手の立場にたつことらしいが。
本当はそれ、自分の気持ちなのだ。
自分の気持ちを徹底的に理解すると、他人のことが自分の事のように理解できる。
自分で哀しみを知っているから 他人の哀しみも見てとれるのだ。
でも「そんなことはない」と自分で自分に言い聞かせてしまってるのだ。
「そんなことはある」のだ。
プレゼントも、自分が欲しかったものをあげると 案外喜んでもらえるものだ。
U谷の喫茶店は「他者意識」が低いだろうか?
そうかもしれない。
最近の僕らも、似たようなものかもしれない。
だけど、せからしい事は 悪くない。
生きてるって事だ。